株式会社 シンライフワーク
代表取締役
河村 直人 様
株式会社シンライフワーク 代表取締役
株式会社スポーツフィールド 社外取締役
Thinkings株式会社 非常勤監査役
一般社団法人日本中小企業スマートビジネス推進協会 監事
iU 情報経営イノベーション専門職大学 客員教員
これまで5社の社長と1社の会長を務め、IPO(インターワークス社)も経験
現在は企業(組織・人材育成)コンサル・顧問・エグゼクティブコーチ
次の世代を担う人たちに貢献できることを活動しています
事業について
————河村様は今どういった事業に携わられていますか?
いわゆる経営コンサルティングで組織開発や人材開発を中心に経営者の伴走役をしております。
具体的には経営者と新しいことを挑戦したり、経営課題について一緒に考え改善したりしています。
————今のお仕事は河村様のキャリアとどういった関わりがあるのでしょうか?
33歳の時にサラリーマン社長を任されたんです。
サラリーマン10年目のときです。
運と縁に恵まれ、赤字状態からV字回復することができましたが、8年後に会社を売却をするということで辞めさせてもらい、自分で起業しました。
しかし、その起業に失敗してしまいまして...。
途方に暮れている中で声がかかったのが、事業再生の話でした。
起業(事業)失敗した人間が事業再生の依頼を受けるという(笑)。
ありがたいことなんですけど(笑)。
変な話ですが、リーマンショックで、それが自分にとってはプラスでした。
悪い状況だからやらないかって声をかけてもらったわけです。
そして、再生するのに苦労はしましたが、この会社でも運と縁に恵まれ、幸いにも上場することできました。
その後、私の役割も替わり、また自分の中に色々クエスチョンマークがついていたこともあって、退任させてもらいました。
そして、私が退任することを知った経営者から相談の乗って欲しいと声がかかりました。
その多くは、組織的課題、例えば事業の成長スピードに組織が追い付いていかない、人材育成が上手くいかない、といった相談でした。
20年ちょっと、トップで様々な組織を作ってきた経験から、組織のつまずくタイミングとかポイントが大体同じであることに気づいていましたので、私の経験がお役に立てると感じ、サポートするようになりました。
しばらく経ち、これからは若い人や次の世代を支えていくのが私の役割じゃないかと気づかされ、そして今のミッションとなったのです。
原体験について
————若手の支援にすごく熱いものをお持ちですね。ただ誰しもが河村様と同じような感覚で若手支援に協力的という訳ではないと思いますが、若い経営者を支えたいと思う理由はなんでしょうか?
企業は数字を伸ばしていくことが成長だとよく言われます。
当然、企業の成長において数字はすごく大事ですが、数字にこだわり過ぎるのも考えものです。
数字って単なる記号でしかないと私は思っています。
大事なのはそこに意味付けする事なんです。
例えば、お客様との関係とか、社内の文化とか、そういうもの作り出して、成果、つまり売上や利益になるわけです。
こういった感覚は、子供のころの体験を通して身につけました。
実家が商売をしていまして、ちっちゃな小売業で祖父母がやってたんですよ。
幼少の頃から、お客様との関係、仕入れ・卸、売掛・買掛といった商売の流れを触れ、商売のいろはを知るのですが、商売は大変だという想いも刻み込まれました。
子供心にも、売れている・いない事がわかりましたから、大丈夫だろうか・・・と心配することもありました(笑)。
そして社会人になって、先ほども申し上げたように33歳の時、当然社長をやれと言われ、そこからずっと経営を担ってきましたが、50歳を過ぎた頃、次のステージはどうしようかと悩んだ時に、自分のキャリアや自分の要素をずっと遡って考えてみたんです。
これは笑い話なんですが、その時見つけたのが、私が小学校低学年の時にテレビでやっていた仮面ライダーでした。
当時、ヒーローの仮面ライダーではなく、それを支えているおやっさんという存在が好きでしょうがなかったんです。
子供の時から憧れるのは、そういった「脇役」と呼ばれる支える側の人間でした。
ずっとトップで走っていく中で、なかなか自分の役割がしっくりこなかった。
人を支えるとか教えるってことが好きでしたので、その理由が50歳を過ぎて分かったのです。
自分の原点はそのおやっさん(脇役)にあると!謎が解けたようですっきりしました(笑)。
おやっさんは、仮面ライダーのメンターなんです。
仮面ライダーの相談相手とか特訓を手伝ってあげたりだとか、そういう役割を持ってるわけです。
それに自分がちっちゃい時から惹かれていました。
なのに20数年間トップを張っていたんですよ。
だからずっと違和感があったことにやっと気づいたんです。
なので今度の役割は自分の原点である「支える」側に回ろうと思いました。
おやっさんに憧れていた、小さい頃の夢が叶ったような感覚です。
私自身、初めて経営者になった33歳の時にメンターになってくれた方がいたのですが、その方に沢山救われてきました。
その恩返しに、今度は若い世代に役立ててもらいたい、と。
いわば、恩送り、ペイフォワードの発想です。
こうしたサポートは、極論ですが、別にお金をもらえなくてもいいと考えています。
実際にそうしている事が多々あります。
会社を立ち上げたばかりだと、ほとんどお金ってないじゃないですか。
自分もお金に余裕のない時を経験していますので、そういった状況の人には出生払いで!とサポートしています(笑)。
口約束ですが、「頼むぞ、必ず顧問みたいな形で迎えてくれよ」と(笑)。
そういった、将来的な楽しみでもあるわけです。
支援内容について
————経営者の方々のご支援をされる中で、実際に悩まれているケースが多い領域やよく相談される内容などをお伺いしてもよろしいでしょうか?
いくつかパターンがあるのですが、まずは一人で頑張って売り上げも利益も出て、結構儲かっていますという方たちです。
最初は人は要らない、組織は必要ない、自分ひとりで良い、儲かれば良いからという考えが、途中で寂しさや虚しさを感じて、喜びを感じ合えるメンバーが欲しくなったという方は結構多いんですよね。
ずっと黙々と一人で作業をする職人さんみたいな方もいますが、私がサポートしている方は、過程を経て、組織を大きくしたい・作りたいという場合が多いです。
ただ実際はなかなか難しい。
仲良しだったけどうまくいかないとか、メンバーも2桁の壁は大きいとか、ナンバー2の存在が欲しいとか、そういった組織化に対する悩みはすごく多いですね。
あとはある程度一つの事業体として成り立ったけれど、新規事業を立ち上げるにはどうしたらいいのか、 新しい次の柱も立てておかないと怖いですとか。
そういったことをどのタイミングでどういう風に考えたら良いのか、ということも悩みとして多いですね。
————そういった問題を打破して組織を伸ばされる方々の共通点はございますか?
やはり共通言語や、メッセージ性を持っている方は強いですね。
ただ面白いのは、ほとんどの場合はそのメッセージも最初のうちは揺れるんです。
私も気持ちはよくわかるので、揺れていいよと言っています。
当然、一本ビシッと筋が通っているに越したことはないのですが、現実はそんな簡単じゃないじゃないですか(笑)。
揺れた結果、結局また原点に戻ってくる。
これでいいと思っています。
だから、先週と今週で言っていることが全然違うということはよくありますね(笑)。
また、「どうしていいかわからないです」という言葉も受け入れます。
それは「もう手の打ちようがないです」ということではないからです。
選択肢がいっぱいありすぎて迷っています、とか、最初思っていたことと心変わりしています、みたいな話だから、ある意味ポジティブなんですね。
だから、メンターはその目線を見極める必要があります。
ネガティブ的なところが出てきているのか、ポジティブな部分におけるちょっとした迷いや戸惑いなのか。
でも、大体はみんなポジティブです。
発想が広がりすぎて分からなくなってしまっているので、その広がりを収束させる手助けをしてあげます。
そして、また拡張し、それをまた収束させる、これを繰り返していくうちに固まっていきます。
そうした中でも、経営者は、どこかに、答えを自分の中に持っているもので、その答え合わせをしたくなり第三者に求めたりします。
そんな時の、本当にそれでいいのかと考えた時の、私と相談者の距離感がすごく大事になります。
経営者仲間や自分たちの幹部の意見も当然参考にはなりますが、ちょっと離れた存在の、第三者的視点を持つ人って意外といなかったりします。
自分のことをある程度理解してくれているという前提もありつつ、経営的視点と客観的視点を兼ね備えた人。
このバランスを持っている人はなかなかいないですよね。
だから私はよく、相性や縁・タイミングもあるので、そういう人は一生で一人出会うか出会わないかという認識で良い、と言っています。
だから意識のアンテナを立てとかないといけないし、今そういった人がいるのであれば大切にしたほうがいい、ということも伝えています。
ぶっちゃけ、頭がいい人、知識やスキルがある人はある意味沢山いるわけです。
悪いわけではないですが、言ってしまえばお金でも買えなくはないじゃないですか。
だからこそ、目に見えないような部分とか、心から慕ってくれるような部分はとても大事だと思いますね。
理念について
————実際に河村様の役割の中で、大切にされている価値観や理念があれば教えてください。
できるだけ「素直であれ誠実であれ」と思っています。
偉そうなことを言ったり、褒めたりする中で、果たして自分は本当に敬意を持って向き合えているのか、ということですね。
相手を受け入れることが大切でありながら、何かを教え込もうとか、丸め込もうとしていないかということは常に考えています。
そのためには、一人ひとり違いがあるということをしっかりと理解する必要があると思っています。
例えば、自分の経験はAさん、Bさんにとっては不要なものかもしれないといったことなど。
そういった適切な距離感をちゃんと持つためにも、自分自身に問いかける部分と相手のことを知る機会を常に意識しないといけないと言い聞かせていますね。
一致しすぎるのはダメだし、不一致も当然ダメなんです。
————河村様にとって、応援したい人とはどんな人ですか?
1つは感覚です。
そこは論理的に語れるものでもないと思います。
ただ、自分がこれまで培ってきた価値観と相手の価値観の一致度が高いことが重要だと思います。
その人の表層の部分だけではなく、一見目に見えない深層部分の一致度をすごく大事にしていますね。
例えば考え方とか振る舞い、態度や姿勢、こういった部分を注意深く観察しています。
これは評価するわけではなくて、感じ取ろうとしている部分が大きいです。
粗削りだけどすごくいいなとか、とても良い所があるのに、むしろそこがあるが故に、悩んでいるんだなとか。
そういった部分がわかれば、少しアドバイスをするだけで問題を解決できたりもします。
だから事業やサービスはあまり関係ないですね。
誰がやっているかが重要なんです。
もちろん、面白い事業だなとか、世の中として必要とされているから、今は大変かもしれないけれどもこれから伸びるなという事業も当然あります。
でも、やっぱり重要なのはやっている人なんです。
その人の人格を否定しているわけではなく、考え方や態度、姿勢が自分と合うかどうか。
そこが感覚的に応援したい、と思わせるポイントですね。
未来のビジョンについて
————最後に河村様の今後のビジョンについてお伺いします。今後、どういう方々と一緒にビジネスをしていきたいですか?
若くて意欲のある人をサポートし事業を創っていくことができる人財を育てていくことです。
また、既存の事業の拡大や再生のサポートにも関心が高いです。
2回事業再生の経験をしており、再生することにやりがい感じます。
加えて人の教育、人を育てるっていう領域を、人材塾みたいなものにできれば悦びです。
どういう人と一緒にビジネスをしていきたいかを一言で言うと、夢や希望を実現するために何を大切にするのか、つまりどんな価値観を持ってチャレンジするのか、これに魅力を感じた人でしょうか。