空き家買取専科
(株式会社Sweets Investment)

執行役員
(写真左)
子育て広報
(写真右)
黒田 淳将 様
三輪 早苗 様
2009年4月 静岡県労働金庫 入庫
2013年 地域活性化活動開始
Shizuoka.20z発足
2014年 草薙マルシェ実行委員会招集・結成
2016年7月 株式会社Sweets Investment 入社
2017年1月 店長に昇格
2018年1月 空き家買取専科 ブランド立ち上げ
2022年7月 執行役員に昇格
2000年4月 株式会社ファイブフォックス 入社
2002年7月 株式会社ブルームフォーラム 入社
2004年10月 芝山みよか美容室 入社
2007年 ベビーマッサージ講師始める
2015年10月 ベビマ・食育・サロン『MERGE』起業
2017年8月 株式会社Sweets Investmen 入社
2018年1月 空き家買取専科
ブランド立ち上げと共に広報担当
カイシャの育成論について
————最初に、現在人材育成についてどのようなお取り組みをされているのかを教えてください。
黒田様:当社はまだまだ従業員数も10名規模のベンチャー企業です。
そのため、同じ部署のメンバーが全員同じ業務を行っているというわけではなく、教育ノウハウが溜まっているとはまだ言い切れません。
しかし、入社した際には1-2日程度でオリエンテーションを実施し、各部門の業務内容や会社概要、ビジョン、求める人材像などをお伝えする機会を設けています。
その後、必ず全従業員に事務関係や会社の管理システムに触れてもらうための研修を行ったり、OJTを通じてサポートしたり、実際の業務の中で同行営業を行ったりと2-3週間程度経験を積んでもらうようにしています。
また当社では様々な業務を行っていますが、仕事を進める上で一番大事にしているのが「常にカイゼンをしよう」という考えです。
個人として、自身の持っている業務をブラッシュアップしていこう、良くしていこうという事を常に行っています。
そのため、「育成する」というよりも自分で気付いて改善し、上司に提案していくことが多いです。
もちろん最初に経験を積むための導入としてオリエンテーションやOJTなどの育成もあるのですが、育成プログラムをティーチングする、というよりは個人やその時の環境に合わせて改善していくという事を大事にしていますね。
————今後会社が拡大していく際など、将来的に作りたい育成の仕組みはございますか?
黒田様:現在考えているものとしては「動画」がありますね。
現在のビジネスモデルを自社運営で広げていくという展望はあまり考えていません。
不動産は地についているものなので、その土地の地場感覚を理解していないと中々ビジネスとして成功させるのは難しい部分があります。
また当社では静岡県を中心として事業を行っているのですが、静岡県内のシェアを考慮すると、ここから爆発的に事業が伸びるとは考えていません。
今の市場で考えると空き家買取再生再販事業としては、今の形が1つの完成形だと思っています。
今後はこの事業を軸に他の新規事業を立ち上げていくことになると考えています。
その中の1つとして、私たちのブランドやノウハウを活用して他県で同じ事業をやりたい人に向けたコンサルを現在少しずつ行っています。
今後もボランタリーチェーンやフランチャイズチェーンなどの形で他県の方も活用できるようにする予定です。
その際に教育動画を作りたいと思っており、事業としてだけでなく、社内教育としても使えるものにしたいと考えています。

会社の事業・理念について
————現在の空き家買取再生再販事業を始めたきっかけを教えていただきたいです。
黒田様:当社には取締役が3人いて、不動産の仲介業や建設業などそれぞれ別会社を運営しています。
そこから土地の分譲に関する新たなプロジェクトを立ち上げたのがきっかけでした。
少しずつ事業を進めていく中で注目したのが、現在も課題として存在している「空き家問題」です。
これまでは空き地を活用することはありましたが、今後は空き家にも手を伸ばせないかという声が上がった際に解体業者が、空き家を買取り、再生して販売してみたら売れたという話を聞いて、ビジネスとして今後空き家も活用できるのではないか、というところから話が生まれました。
そんな事業を生み出したいとなった際に白羽の矢が立ったのが私でした。
私自身10年くらい前に商店街や空き家をリノベーションすることで人や街を元気にしていく「リノベーションまちづくり」に非常に興味を持っていました。
そして、仕事を退職した際に「空き家買取・再販」のビジネスをやらないか、と声を掛けられ、今まで私が勉強してきたこととは異なる分野でしたが、不動産やリノベーションという部分で共通点があり、派生のビジネスを生み出せることや自身の世界観を表現することも可能だなと思ったんです。
また、まだまだ小さい会社だからこそ、自分で創造できるという側面も非常に面白そうだなと感じ、入社しました。
今の事業の始まりはフランチャイズに加盟していましたが、自分たちの足で稼いで創ってきた事もあり、「こんなブランドを作っていきたい」という思いを実現するためにフランチャイズから脱退し、作ったのが今の「空き家買取専科」というブランドや理念です。

————ここまでお話をお伺いした中で、土地あっての事業という考えを大切にされていると感じたのですが、実際に会社の理念としてはどのようなことを大事にされていますか。
黒田様:空き家買取専科のビジョンとしては、「在るものに目を向け、より良い明日(あす)を創造する」というものを掲げています。
そのための構成要素として、
・空き家を地域の資源として活かす目を持ちます。
・人の持つ可能性に目を向け、それを信じます。
・今在るものを大切に、それをより良いものにする為に考え動きます。
の3つがあります。
そして、当社では主に2つの柱を企業の軸として地域を良くしていこうと思っています。
1つ目は「空き家」です。家や街などいわゆるハードな部分から、空き家問題やまちづくり、そして持続可能なビジネスとして経済をまわして地域を良くしていきます。
2つ目は「人」です。運営会社である株式会社Sweets Investmentのビジョンである「人の才能を爆発させる会社」を発端として、人の可能性を大事にしたいと考えています。
人の才能が発揮されることで事業の活性化だけでなく、街や地域の活性化にも繋がると考えています。
だからこそ、人や働き方という側面のソフトな部分も大事にしています。
その上で、両方の共通点として、今あるものを大事にしていこうという考えを持っています。
既存のストックや現在その社員が持っている良さや持ち味などを大切にし、それをもっとより良いものにするために考え、対話するようにしていますね。
また、当社では「現状のアウトプット」と「長期のアウトカム」の指標を示しています。
長期アウトカムで記載しているのは、目指す世界観の部分です。
昔は、祭りの文化の中で地域共同体が育まれまちづくりが行われてきましたが、近年では繋がりが薄れているように思われます。
それに伴い、まちを構成する建物が空き家として放置されても、どうしていいかわからず放って置かれ、増加の一途を辿ってしまっているんですね。
私たちは、その現状を空き家のオーナーを増やすことで逆の流れにしたいと思っています。
ネガティブに捉えられがちな空き家の増加ですが、逆に考えると空き家自体を安く手に入れられる機会が増え、広い敷地や建物などの資源が解放されていくと考えられます。
それを楽しみながら個人だけでなくチームや組織でも街を大切にしながら暮らしていける文化にしたいですね。
その中で必要になるのはやはり人との繋がりだと思うので、そういうところで建物などの空間資源を地域のコモンスペース(共有空間)として使用していくことで新しい形の地域共同体を作りたい、というのが長期的な展望です。
「不動産のオーナーシップの醸成」に関しても、不動産を持ちたくないというオーナーの方が増えている中で「オーナーシップを持ちながら不動産を管理することでこんな素敵な未来があるよ」という事を見せられたらいいなと思っています。
多くの人が広く空間を活用し、幸せな暮らしをすることで、家だけではなくセカンドハウスや公民館、子育てをみんなでできる空間など多くの可能性が生まれると考えています。
そういう環境が地方で生み出されることで様々なニーズも生まれ、才能の種を持った多くの人が集まってきます。これまで埋もれていた才能を育みながら、そして収益も生み出しながら「空き家問題」も楽しみつつ解決に向かわせることができるのではないかと私は思っていますね。
そのために今行っている空き家買取再生再販事業がありますし、FTKと呼ばれる不動産プロジェクトの資金調達をする仕組みの開発や、私たちのノウハウを全国に広げていく事業、「空き家ゼロにの日」の活動などの取り組みもあります。
他にもテクノロジーを通じた働き方改革なども行うことで長期アウトカムになるような世界観を作っていこうとしています。

————楽しみながら解決したいという思いが非常に伝わってきたのですが、今まで大変だったエピソードはございますか?
黒田様:私が入社して3ヶ月目の頃不動産業は収益化に時間がかかる上、当社では大型のリノベーションも実施するため、リードタイムに1年ほどかかるものもありました。
その際に中々売れず、買えないというタイミングが重なると資金ばかりが減ってしまいストレスを感じる事もありましたね。
そんなある日の深夜に役員から「逆境である」というメールが来て資金ショートしかけているという出来事もあり、辛い時期もありました。
しかし、もともとベンチャーだし、不安よりも「今やれることを粛々とやることしかないな!」という気持ちを持って業務に当たっていた事の方が多いですね。
————辛い時期でも前を向いて取り組みを続けられた理由やきっかけはございますか?
三輪様:当社では対話を意識しており、組織作りに注力して取り組んでいます。
それに伴い、心理的安全性を保てる職場を作るために、プライベートな会話や何を発言しても大丈夫というような環境を作ろうとしています。
かなりその環境づくりも進んできてはいるのですが、このようなメンバーと一緒に仕事をしている安心感というのも理由として挙がるのかなと思いますね。
また、男性育休制度にも取り組んでいるため、社員の成長に大きく寄与しているのではないかなとも思います。
黒田様:比較的役員メンバーもどんと構えている事もありますね。
何か問題があっても右往左往せずに安定感がある部分も安心につながるのかなと思います。
また、私自身も目標は高く持ちつつも、自分自身を過度に追い込みすぎないように自身や物事を客観視して見るようにしたり、時には「これでダメだったら仕方ない」と割り切る感情を持つようにしたりもしていますね。
他にも、業務の中でミスが起きた際にはミスをした人を責めるのではなく、ミスが起きてしまう仕組みに着目するようにしています。
個人の力でどうするかではなく、仕組みをどう変えるかという視点です。
これは弊社が大事にしているカイゼンの基本マインドですね。最終的には人によって左右される部分もありますが、メンバーのミスを責めたり、残業などの過度な頑張りによるマンパワーモデルにはしたくなかったので、仕組みを改善するようにしています。

————制度に関するお話が挙がりましたが、もう少し詳しく育休制度やその他の制度に関してお伺いしたいです。
三輪様:先ほどもお話したように当社では男性の育児休業制度(以下育休)を導入していますし、取得率は100%です。
育休というと長期で完全に休むイメージがあり、そうすると中小企業では仕事が回らなくなってしまうこともあり、育児休業の取得はかなり難しくなってしまいます。
そこで、空き家買取専科では、完全に休むのではなく半育休という形で取得できるようになっています。
黒田様:育休制度は月でどれくらい休めるかなど色々決まりはあるのですが、全く働けないというわけではなく、半分弱くらいであれば働くことが可能となっています。
私たちは育休を会社と個人が成長するチャンスと捉えています。
奥さんの妊娠発覚から出産までの期間を活用し、現在の自身の業務を棚卸しを行い、やめる仕事、減らせる仕事を洗い出し、手放すことで本当に重要な仕事や優先度が高い仕事を絞り込んでいきます。
そうすることで、今までは実施していたけれど優先度を下げることができる仕事や、減らすことができる仕事を除くことができ、時間を半分から1/3まで短縮する一方で、成果を維持できるようにする環境づくりを狙いとしています。
そのトライアル期間として育休期間があるということですね。
実際に育児をしながらリモートでできる仕事を増やしたり、週2日程度半日出勤したりすることもあります。
仕事の時間ややり方を見直して従来より短い時間で業務に当たった結果、成果を維持することができると、戻ってきた際にタスクの項目が半分は空きますよね。
そうすると、新たな仕事に着手でき、キャリアアップの機会を作ることもできます。
そのために、会社や上司は協力して計画を立てたりやり方を考えたりするなどのサポートも行います。
育休を取得することが本人にとっても会社にとってもプラスになる仕組みづくりにするためにもこのような考え方をするようになりましたね。
本人も子供と過ごせる時間を確保し、会社としてもキャリアアップの機会を創出でき、本人が会社に返ってきた際には育休前よりも成長し会社がさらに強くなるという、育休を取れば取るほど会社が良くなるサイクルができれば経営者としても育休を後押しできる環境になると思っています。
そういう環境で働けると中小企業にも育休が浸透しやすくなると思いますし、今後も続けていきたいですね。
三輪様:育休以外の制度としては、コロナ禍前からテレワークを導入していますね。
他にもフレックスタイム制を取り入れ、定時に縛られずに働くことができています。
数年前に、就業時間が8時間のところを7時間15分にしました。
もちろん給料は変わらずです。
さらに正社員だけど、時短で働ける時短正社員の導入もしました。
また、働き方も様々で、業務形態もパートで入社した後正社員になることや、正社員から業務委託で働くことも可能です。
ボトムアップで提案し、制度を活用することでその状況に応じて働き方が色々選べるというのは大きいですね。

社員の皆様について
————社員1人1人を大事にされていることが伝わってきたのですが、実際に働かれている社員の方にはどのような方がいらっしゃいますか?
黒田様:今店長として働いている山田くんとは、元々学生時代にワインバーを自ら立ち上げた経験があります。
僕自身も以前バーをしていたので、一緒に事業を行っていた時期がありました。
その後、僕が今の会社に入社した後、営業担当がいなくなる時期があり、その際に猫の手も借りたいから来て欲しいと伝えたところ、週4であればと来てくれたのが山田くんでした。
彼自身数学が得意なのですが、業務の中でもマーケットを読んで数字を出して交渉していく、など数字に触れる機会が多いです。
非常に数字の扱いに長けていた結果、頭角を表し、最近は店長に就任しました。
組織対話を大事にするという文化にも彼自身非常にマッチしていて、会社の要になってくれていますね。
また、元々幼稚園の先生をしていたのですが、子育てや介護のため、幼稚園教諭を続けることが難しくなり、その後パートとして当社に入社をして今は経理や店舗管理を担当している杉山さんという方もいます。
彼女も全く異なるキャリアでも頑張ってくれていますね。
彼女は2ヶ月に1度会社の駐車場を使用しマルシェを企画してくれて、マルシェのリーダーもしてくれています。
他にも、子育て支援のNPOに所属したりと多方面で活躍していますね。
営業で入社した犬塚くんは、2年弱程度成果が中々出せなかった事もあるのですが、加工と再販の業務をジョブチェンジとして担当してもらった結果、業務が上手くマッチし販売の方もかなり伸びてきています。
彼の様にポジションチェンジをして才能を伸ばす事も行っていますね。
————お話を伺う中で何度か「対話」というキーワードが出たのですが、実際にどのような取り組みをされているのでしょうか。
黒田様:「対話」という言葉を大事にし始めたのはこの1年弱ですね。
始めたきっかけはとある企業に組織支援を行ってもらったことです。
沖縄県でうつ病の人の復帰を支援している会社があるのですが、実際うつ病になった人は1度治ってもまた再発してしまうということが少なからずあります。
このような事が起きてしまうのは、うつ病の人を作ってしまう組織に原因があるのではないかと考え、組織支援を行う会社を作ったそうです。
今はこの会社に組織開発支援をしてもらっています。
そこで大事にしている考えが「対話」です。自身の考えや価値観を話すことができる、心理的安全性が確保された場所を組織の中に作るために実施しています。
実際に月に1回は2時間程度対話をする機会を設け、日々の会話や気遣いに活かしていますね。

————実際に社員の方が取り組まれたことで嬉しかったことや感動したことはございますか?
三輪様:先ほどお話にも出てきた山田さんとはあまり個人的な話をする機会がなく、昔はお互いに距離を感じていた部分もありました。
そこで、対話を始めたことをきっかけに、2人で話す時間を月に1回持つようにしました。
その結果、お互い仕事がスムーズにしやすくなり、居心地も良くなりましたね。
話す内容は特にあらかじめ決めているわけではなく、その時お互いが話したいことを話すようにしていました。
対話をする際には必ずそのための時間を設けるようにしています。
内容としても、仕事の話に限らず普段一緒に仕事をする機会のない人ともコミュニケーションを取ることを目的とした会話をしていますね。
私自身広報の業務の中で営業チームに協力してもらうこともあるので、対話をするようになってからはやり取りや意思疎通がスムーズになってきたかなと感じます。
黒田様:対話を増やしたことによって、相手の業務での動きも大きく変化したなと感じますね。
それは私がどのような意図で話しているのか、それを受けてそれぞれがどう感じるのかということを考える時間が増えたからだろうと思います。

仕事のやりがいについて
————お2人は今後どんな方と仕事をしたいと思いますか?
三輪様:まず悲観的ではない人がいいかな(笑)
同じ物事を言っても捉え方は人それぞれだなと思っていますね。
私自身「なんとかなるや」と思っている部分があるのですが、何か課題が出てきた時それをマイナスに捉えて「じゃあ辞めよう」となるのではなく、チャレンジする気持ちがある人の方が良いかなと思います。
もちろん危機管理の部分は凄く大事なのですが、やっぱり捉え方がプラス思考の人と楽しく働きたいなと思います。
黒田様:私としては、空き家買取専科としての組織のチームでは任せられるようになってきたので、そこに関しては今のメンバーで上手くやってもらえるといいなと思いますし、更に新しく前向きなメンバーが集まってきてほしいなと思いますね。
個人的な部分では、他の会社でシナジーが発揮できるような方と新たな事業モデルを作っていきたいと思っています。
そのため、そういう人たちとの関係や繋がりを今作っているところです。
————最後に仕事のやりがいについてお話いただきたいです。
黒田様:「自分で作れる」という感覚があるところですね。
自分の仕事のやり方だけでなく、業務内容も改善しながら少しずつ変えていけるので、続けていくとどんどんできることや範囲も増えていきますし、創ってもいけます。
これが1番楽しいと思う部分でもありますし、だからこそのベンチャー企業だなと感じます。
社長たちも「やってみなさい」と背中を押してくれますしね。
自分の働き方も、内容も、やり方も自分で作れるので、どんな立場でもカイゼンの思考からボトムアップで会社や働き方、事業を作っていける事が1番の強みでもあると思っています。
三輪様:私も仕事を作っていけるという部分だと思いますね。
広報の仕事も自分でゼロから作ってきました。何をやるのか、からスタートしてきたのでやりがいを感じる部分です。
またそれが地域や会社、関わってくださるお客様たちに還元していけるという事もやりがいの1つですね。





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